肺胞気酸素分圧(SAO2)について

人工呼吸器関連

みなさんこんにちは。肺胞気酸素分圧PAO2とは何でしょうか。

呼吸不全患者の評価に必須なPaO2(動脈血酸素分圧)と肺胞気酸素分圧についてについて説明します。

SaO2とSAO2は別の概念ですのでご注意くださいね。

以前、酸素療法の基礎編で基本的なところを説明してますのでよろしければご参照ください。

今回は少し分かりづらい酸素分圧に的を絞って説明します。

動脈血酸素分圧とは

動脈血酸素分圧を簡単に説明すると、動脈血内にある酸素の量を圧力の単位(mmHgもしくはTorr)で表したものになります。

基本的には酸素の量の話なのですが、それを圧力の単位で示しています。

今回は圧力の話です。

分圧とは

分圧とは、多成分からなる混合気体において、ある1つの成分が混合気体と同じ体積を単独で占めたときの圧力をいう。

…。よくわかりませんね。笑

・多成分からなる混合気体

 ➡ Ex)空気は窒素、酸素、二酸化炭素などのいろいろな成分を含んだ混合気体です。

・ある1つの成分が混合気体と同じ体積を単独で占めたときの圧力

 ➡ 分かりにくいので、同じ体積における成分ごとの圧力と覚えてください。

ちなみに、体積における混合気体全体の圧力を全圧といいます。

それに対してそれぞれの成分ごとの圧力を分圧といいます。

 ➡ 混合気体それぞれの成分の圧(分圧)をすべて合わせると全圧ということになります。

ここから段階的に酸素分圧を紐解いていきましょう。

大気圧とは

大気圧とは、地球の空気(大気)の重さによって生じる圧力。

この圧力は、常に私たちの体を押しつけていますが、普段は感じません。

その大気圧を1気圧と呼び、先ほどのmmHg(Torr)で表記すると760mmHg(Torr)となります。

大気中の酸素分圧を考える

大気圧は760mmHg(Torr)と説明しました。この大気圧が全圧です。

そのうちの酸素分圧を考えると…。

大気中の酸素の割合は21%なので ➡ 760(全圧) × 0.21(酸素割合) = 160

酸素分圧は160mmHg(Torr)となります。

ただですね。こちらは大気の酸素分圧の話です。

https://www.erca.go.jp/yobou/taiki/kids/aozora/kurashi_04.html 環境再生保全機構ホームページより

気道内の酸素分圧

大気の酸素分圧は160mmHg(Torr)というところまできました。

でも実際、私たちが体内に空気を取り込む際は、条件が変わります。

私たちは冷たく乾燥した空気が肺に直接行かないように副鼻腔などで加湿された空気を肺は取り込んでいます。

体温約37℃で空気を100%加湿した場合の水蒸気圧は47mmHg(Torr)となります。

ですので、この水蒸気圧を引かないといけません。

気道内の酸素分圧は(760-47)× 0.21 ≒ 150mmHg(Torr)となります。

肺胞気酸素分圧

さて、気道は約150mmHg(Torr)の酸素分圧まできました。次で最後です。笑

最終的に肺胞に届く肺胞気酸素分圧(SAO2)が重要です。

肺胞気の酸素分圧を考えるうえで

血液中から肺胞内に取り込まれた二酸化炭素 ≒ 本来は呼気で体外に放出されるもの

   ➡肺胞気の二酸化炭素分圧(約40mmHg)

・もともと肺胞内に残っていた空気の影響(残気量) 数mmHg

それぞれ併せて約50mmHgの影響を受けます。

その結果、先ほどの気道内酸素分圧の約150 – 約50 ≒ 100mmHgとなります。

ですので長々と話しましたが、肺胞気酸素分圧は約100mmHg(Torr)と覚えておきましょう。

ただ、こちらは酸素を吸っていない状態 室内気(RoomAir)での話です。

酸素を吸ってない方の肺胞気酸素分圧は約100mmHg(Torr)と覚えておきましょう。

https://knowledge.nurse-senka.jp/215859/?_bdld=16qK8b.p0vPbXK.1762503070 ナース専科ホームページより

改めてSaO2を考える

さて、酸素を使用していない患者さんの肺胞気酸素分圧は約100mmHgということはわかりました。

肺胞気酸素分圧がみんな約100で同じであるのに呼吸不全の患者さんはなぜ動脈血酸素飽和度は低下してしまうのでしょうか。

https://igakukotohajime.com/2020/04/30/%E4%BD%8E%E9%85%B8%E7%B4%A0%E8%A1%80%E7%97%87-hypoxemia/ 医学事始ホームページより

低酸素血症の分類が示されています。

こちらも詳しく説明したいのですが長くなってしまったので今回はここまでとさせていただきます。

次回、低酸素血症の分類と治療について説明します。

まとめ

いかがだったでしょうか。

酸素分圧について説明しました。高校の科学を思い出せたでしょうか。笑

なかなか難しい領域ではありますので過程はさておき、重要ポイントに関しては覚えておきましょう。

次回の低酸素血症の分類をお待ちくださいね。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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