低酸素血症の分類

人工呼吸器関連

みさんさんこんにちは。

患者さんが苦しそうにしていてSpO2が低下している場面に遭遇したことがあると思います。

いわゆる低酸素血症の状態ですが、その原因はなんなのかアセスメントしていますか。

低酸素血症の分類について説明しようと思います。

前回、こちらの記事の序章ではありませんがSAO2を中心に説明しました。

またさらに呼吸療法の基礎編もありますので、それぞれ興味がある方はぜひともご参照ください。

低酸素血症とは

その名のとおり血中の酸素濃度が低下している状態をいいます。

でもその原因は様々ですよね。

低酸素血症や呼吸不全を語るうえで、酸素の量、酸素分圧を考える必要があります。

重要なのは酸素分圧がどれだけあるかという話です。

定義上、酸素分圧が60mmHg(Torr)以下となった場合をⅠ型呼吸不全といいます。

また二酸化炭素分圧が45を超えると2型呼吸不全といいます。

https://heart-clinic.jp/%E5%91%BC%E5%90%B8%E4%B8%8D%E5%85%A8 佐野内科ハートクリニック ホームページ

低酸素血症の分類

さて低酸素血症は原因別に分類がなされています。こちらを理解できれば呼吸不全のアセスメントはお茶の子さいさいです。笑

まずは下記をご覧ください。それぞれ説明していきますね。

https://igakukotohajime.com/2020/04/30/%E4%BD%8E%E9%85%B8%E7%B4%A0%E8%A1%80%E7%97%87-hypoxemia/ 医学事始ホームページより

肺胞低換気

肺胞低換気は、その名の通り低換気です。こちらに関しては換気量が低下するため吸気の絶対量が減っている ≒ 換気量が減っている。

基本的には換気量が減るので二酸化炭素を吐き出すことができないので、二酸化炭素が貯留します。それに合わせて酸素を取り込むことができない状態です。

こちらは低酸素血症に合わせて二酸化炭素が貯留するという特徴があります。

神経筋疾患や呼吸筋疲労、人工呼吸器の設定不良などがあります。

換気血流比不均衡(V ・A/Qミスマッチ)

換気血流比不均衡、または、V ・A/Qミスマッチといいます。➡簡便にV/Qミスマッチとも言います。

換気血流比不均等は、その名おの通り、肺胞の換気と血流のバランスが崩れてガス交換が効率的に行えない状態をいいます。

換気血流比とは単位時間あたりの肺胞の換気量と血流量の比率のことです。

換気血流比=換気量/血流量(VA/Q)です。理想的な換気血流比は約0.8といわれています。

こちらには二種類があります。

大変わかりやすかったので引用させていただきましたのでご参照ください。

https://sachico2024.com/entry/kokyuuhuzennbyoutai3-kannkiketuryuuhihukinntou さちこのナース勉強ブログより

High V/Q ➡ 死腔様効果

換気が十分でも血流が不足する状態です。分数でいうところの分子(V ➡換気)が十分で分母(Q ➡血流)が不足しているということです。分母が小さくなると数は大きくなりますね。

一番有名なのは肺塞栓症などによる肺静脈の血流不全ですね。また専門的な話となりますが、HPV(低酸素性肺血管攣縮(hypoxic pulmonary vasoconstriction, HPV)という少しマニアックな状態もこちらを引き起こし得ます。このHPVは呼吸管理において大変重要ですので後日説明しようと思います。

いずれにせよ、換気はできているのその肺胞周囲の血流が足りない状態をいいます。また、このような状態を死腔様効果といいます。

Low V/Q ➡ シャント様効果

お次は、逆に血流が十分でも換気が不足する状態です。今回は分数でいうところの分子(V ➡換気)が低下するので絶対値は下がります。

有名な状態は、無気肺ですね。肺胞血流は問題ないけども喀痰や胸水などの無気肺により肺胞が有効な換気をしていない状況をいいます。

このような状態をシャント様効果ともいいます。

また人工呼吸器管理中の患者は仰臥位で寝ているため、重力によって血流が背側に多くなり、背側は無気肺で換気不良になる。また換気が胸側に多くなることで、ガス交換が効率的に行われなくなります。

これは人工呼吸器管理において大変重要なポイントですので覚えておきましょう。

シャント

こちらは先ほど説明したLow V/Qのひどい状況といっていいでしょうか。シャントについて専門的に説明すると“右室から拍出された血液が肺胞気に接触せず、酸素化されずに左心系に流入する病態”をいいます。

こちらは酸素吸入を行ってもシャント血に関しては全く影響を受けないので酸素化が改善しにくい特徴があります。そもそもシャントは生理的なシャントも存在します。

生理的シャント

・気管支静脈から肺静脈への流入。

・左心室の小静脈が左心室へ流入。

  など健常者でもある程度のシャントは存在します。

病的シャント

先天性疾患による右左シャント(心室中隔欠損“ASD”など)や、喀痰による無気肺による換気されていない肺循環がある状態をいう。

生理的シャントは健常者にもあり、問題となるのは病的シャントの方ですが、Low V/Qとかなり近い病態といってもいいでしょう。

拡散障害

最後の拡散障害はシンプルです。肺胞の拡散能の障害です。代表的な疾患は間質性肺炎やCOPDなどです。肺胞自体や肺胞周囲の問題によって酸素を血液に取り込みにくい病態です。

こちらは慢性的な経過で問題になる場合はかなり進行している場合が多いので、治療もどのように行うか十分に検討が必要な病態ともいえるかも知れません。

まとめ

低酸素血症の病態について説明しました。少し細かい話もはいりましたが重要なポイントですので覚えておきましょう。

ただ、一つ言えるのひとつではなく複合的な要因で低酸素となっている場合があることを忘れないでくださいね。

治療や看護、呼吸器管理についても説明しようと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました