人工呼吸器基礎編③(呼吸器に関わる解剖と生理)

人工呼吸器関連

皆さんこんにちは。今回も人工呼吸器基礎編です。

今回は人工呼吸器に関わる解剖と生理について簡単に説明していきます。

人工呼吸器に必要な解剖学

解剖学はお好きですか?大体の方は嫌いですよね。笑

簡単に説明します。

呼吸筋

私たちが息を吸うとき横隔膜収縮して下がります。また外肋間筋も吸気時に収縮します。➡肋骨を広げる。

横隔膜収縮で陰圧になり肺が膨らむという模式図が大変わかりやすいので引用させていただきましたので是非ご参照ください。

https://www.kango-roo.com/learning/2265/ 看護ルーより

さて呼気時はどうでしょう。

安静時であれば、吸気時に収縮した横隔膜と外肋間筋が弛緩することで呼気となります。

➡ 吸気のために収縮した筋肉を緩める。

一方、内肋間筋が収縮することで、広げた肋骨を狭めることで強制的に呼気をすることもできます。

最後に、腹筋も呼吸筋で重要です。咳やくしゃみのし過ぎで腹筋が筋肉痛になったことありませんか?咳もくしゃみも息をはきますよね。実は腹筋は重要な呼吸筋なのです。

呼吸補助筋

呼吸補助筋とは、通常の呼吸には使わない努力呼吸の際に使用される筋肉です。

よく肩で息をするといいますね。呼吸が苦しい時に方を持ち上げるように呼吸をします。その肩を持ち上げるのも呼吸補助筋です。

呼吸補助筋で有名なのは胸鎖乳突筋です。これは首に斜めに走っている筋肉で通常は首を動かしますが、努力呼吸時は、胸郭の前後径を広げるといわれています。

呼吸補助筋の使用は呼吸困難のサインです。ぜひ観察しましょう。

このように、安静時の呼吸や努力呼吸時など様々な呼吸に関わる筋肉があることが分かったと思います。

呼吸筋 まとめ

私たちの呼吸は筋肉を使い吸気も呼気も随意的に行うこともできます。

吸気は筋肉の収縮なので苦しい時など強い吸気努力が生じる得る。

呼吸補助筋の使用の観察が重要。➡慢性的に呼吸困難の患者は発達していることもあります。

呼吸筋について大変わかりやすい図がありましたので引用させていただきます。

https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/22/032800013/040300002/ 日経Goodayより

肺の解剖学

右肺は上葉 中葉 下葉の三つに分かれて、左は二つで。。。。

と、やはり解剖学は退屈ですね。

とりあえず生理学的なことも踏まえ2つ覚えましょう。

1つ目は、肺の下葉は背側に、心臓は左側にある。です。笑

さすがに知ってるよ。と思うかもしれませんが、意外と重要です。人工呼吸中に臥床しているが、もちろん背側がつぶれます。また左側には心臓があるので左の下葉が特につぶれて空気が入らない状態(無気肺)になりやすいです。

2つ目は、人工呼吸器中の横隔膜の動きは自発呼吸と比べて制限される。です。

人工呼吸管理中は空気を強制的に送り込むので、横隔膜の背側より腹側を多く動かすんです。

前述した通り、肺は背側に多くあるのに、背側の横隔膜の動きが悪くなるというのは効率的でないことがわかりますね。

少し難しくなりますがこちらがV/Qミスマッチにもつながります。➡そのうち解説します。

人工呼吸器管理に関わる呼吸生理

さて、解剖について説明しました。では人工呼吸管理中の生理をみてみましょう。

人工呼吸器管理中は鎮静剤などの麻酔薬を使用します。ですので人工呼吸器管理中は自発呼吸がなくなることもあります。

自発呼吸がないと呼吸筋が使えません。

そこで、人工呼吸器が肺に空気を送り出します。そうですね、これが吸気です。

この吸気を人工呼吸器で設定して調整しているんです。もちろん自発呼吸があればそれを補助することもできます。

さて呼気はどうでしょう。

人工呼吸器が空気を送るのをやめると勝手に空気がはかれて出ていきます。

これは肺自身の弾性に伴うものです。

実は、人工呼吸器は呼気を調整することができないのです。

呼気は肺自体の弾性に依存するという訳です。➡ 弾力のない肺では空気を外に出すのに時間がかかる。

ですので呼気の時間を調整します。⇦ 吸気の時間や回数を少なくすることで、呼気時間を確保する。

ですので、COPDや喘息などの患者は病態的に呼気が延長します。呼気の調整は人工呼吸器でできませんので呼吸器管理に難渋することが多いです。

また、人工呼吸器管理中に呼吸が苦しくなると、吸気努力が増大します。前述のとおり横隔膜と外肋間筋を収縮させます。そして呼吸補助筋を使います。

特に苦しい時は息を吸ってしまうので、吸気を調整しても呼気を調整できないため同調性が悪く、結果的に鎮静を深めて吸気努力を弱めることしかできないこともあります。

内因性PEEP auto PEEP

ここで問題になるのが、内因性PEEP(autoPEEP)です。

肺の問題で呼気に時間がかかる状態で、呼気として空気を吐き切る前に、次の換気が始まることにより生じます。

そもそもPEEPとは肺が虚脱しないようにあえてかけるものでしたね。しかしそれが意図せずかかってしまう状態です。

吐き切れないまま次の換気がくることで、肺が過膨張となったり、本人がつらくて人工呼吸器と非同調を起こすことっもあります。

ですので呼気の時間を調整したり、counterとしてあえてPEEPをかける場合もあります。

まとめ

人工呼吸器に関わる解剖と生理を簡単にまとめました。最後にautoPEEPが出てきたから少し難しくなりましたね。

何かご指摘の箇所などありましたらコメント欄までお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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