みさんさんこんにちは。
低酸素血症の患者さんは多く存在します。そのような方の治療について説明します。また人工呼吸器管理についても少しふれられたらと思ってます。
低酸素血症の分類についても記載していますのでまだお読みではない方はぜひともお読みください。
また呼吸療法の基礎編やSAO2を中心に説明もありますので、それぞれ興味がある方はぜひともご参照ください。
Contents
呼吸不全の分類
動脈血酸素分圧が60mmHg(Torr)以下となった場合をⅠ型呼吸不全といいます。
また二酸化炭素分圧が45を超えると2型呼吸不全といいます。
動脈血酸素分圧60mmHgとはSaO2(SpO2)が90%といわれています。感覚的にSpO2 90%は“やばいかな”という感覚をお持ちかもしれませんが、その感覚は正しいです。笑
前回SAO2や酸素解離曲線についても説明してますのでよろしければご参照ください。
https://heart-clinic.jp/%E5%91%BC%E5%90%B8%E4%B8%8D%E5%85%A8 佐野内科ハートクリニック ホームページ
低酸素血症の分類
低酸素血症は原因別の分類についてはこちらをご参照ください。
https://igakukotohajime.com/2020/04/30/%E4%BD%8E%E9%85%B8%E7%B4%A0%E8%A1%80%E7%97%87-hypoxemia/ 医学事始ホームページより
低酸素血症の治療
低酸素血症の治療は何でしょう。まず頭に浮かぶのは酸素療法ですよね。
でも酸素療法というのは対症療法(症状に対する治療)でしかないので酸素を投与するのはその場しのぎともいえます。酸素療法とともに治療を考えていきましょう。
肺胞低換気
肺胞低換気は、吸気の絶対量が減っている状態で二酸化炭素は貯留します。
こちらは原因を取り除くことができる場合とそうでない場合があります。
薬剤性(麻薬など)
こちらは麻薬などを中心とした薬剤により呼吸抑制がかかった場合に起こります。呼吸抑制を引き起こす薬剤を中止することで改善します。
https://knight1112jp.seesaa.net/article/517663774.html 麻酔科勤務医のお勉強日記より
人工呼吸器設定不良
人工呼吸器の設定で分時換気量が低いと肺胞低換気となり得ます。呼吸回数を増やしたりTVを増やしたり設定の調整で改善できます。
呼吸筋疲労
フレイルや廃用などの呼吸筋の問題の場合はまずは少量の酸素投与したで呼吸を落ち着かせつつも呼吸リハビリテーションを行うことが一般的です。
しかしフレイルや廃用が高度の場合、人工呼吸器の装着が必要となる場合があります。人工呼吸器を装着することで一時的に換気は改善することができます。ただ、人工呼吸器装着し呼吸リハビリテーションを行うことで良くなることはあるかもしれませんが基本的呼吸筋疲労に陥るフレイル状態にある方を人工呼吸器からリハビリテーションで改善させるということはかなり難しいです。
神経筋疾患
神経筋疾患患者は徐々に進行していく疾患でありいずれ呼吸筋にも進行していきます。こちらも呼吸筋疲労の際と同様に少量の酸素投与から始めます。最終的には人工呼吸器が必要になる場合があります。人工呼吸器を装着すれば改善しますが、呼吸筋が回復することはなかなか望めません。
人工呼吸器は治療?
結果からお伝えすると人工呼吸器も酸素療法と同様に対症療法です。人工呼吸器自体が肺や呼吸筋をよくしてくれる訳ではありません。むしろ呼吸筋は廃用に進みます。人工呼吸器管理と並行に治療が必要であることは覚えておいてください。
特に、呼吸筋疲労や神経筋疾患患者さんにとっては一生人工呼吸器を装着して過ごすことになるかもしれません。アドバンスケアプランニング(ACP)など患者さんの背景や人生観など様々な視点から人工呼吸器管理を開始するのが大切であると考えています。
https://www.imimed.co.jp/int/spot/medica_202309/ IMIホームページより
換気血流比不均衡(VA/Qミスマッチ)
換気血流比不均等は、肺胞の換気と血流のバランスが崩れてガス交換が効率的に行えない状態です。
https://sachico2024.com/entry/kokyuuhuzennbyoutai3-kannkiketuryuuhihukinntou さちこのナース勉強ブログより
High V/Q ➡ 死腔様効果
換気が十分でも血流が不足する状態では原因の治療しかありません。重症な肺塞栓症に対しては、血栓回収術や血栓溶解療法など早期治療が重要です。それを踏まえて、低酸素血症に対して必要に応じて酸素投与や人工呼吸器管理を行う場合があります。
Low V/Q ➡ シャント様効果
血流が十分でも換気が不足する状態で多いのは無気肺ですね。喀痰による末梢気管の閉塞や、長期臥床に伴う背側肺の虚脱などが多いです。こちらに関しては離床励行ですね。リハビリが重要です。
また人工呼吸器装着患者でも換気血流比不均衡が生じます。人工呼吸器管理中の患者は仰臥位で寝ているため、重力によって血流が背側に多くなり、背側は気肺で換気不良になる。また換気が胸側に多くなることで、ガス交換が効率的に行われなくなります。このような状態は人工呼吸器管理中には基本的には生じますが、プラスで肺炎などの主病態が重篤だと人工呼吸器管理が難しくなります。そのような際はどうするか。 ➡伏臥位療法を行います。人工呼吸器管理中の伏臥位は著効することが多いです。また別にご説明しますね。
シャント
右室から拍出された血液が肺胞気に接触せず、酸素化されずに左心系に流入する病態をいいます。
今回は生理的シャントはさておき、病的シャントの治療になります。
シャント血は酸素投与を行っても全く影響を受けないので酸素化が改善しにくい特徴があります。
先天性疾患による右左シャント(心室中隔欠損“ASD”など)に関しては2期的な手術になることが多いかと思いますが、計画的に手術も含めて治療戦略を立てていきます。
喀痰による無気肺などによるシャントにおいては離床励行もしくは人工呼吸器管理中であればPEEPを高めに設定するということが治療となります。
拡散障害
肺胞の拡散能の障害です。間質性肺炎やCOPDなどです。COPDの急性増悪に対してはNPPVがよい適応とされています。間質性肺炎に関しては急性増悪であればステロイドパルス療法などにより改善を待つというところでしょうか。
まとめ
低酸素血症の病態の治療について説明しました。長文となってしまいすみません。
少し分かりにくい箇所もあったかと思います。今後また細かいところに関しては記載していきたいと思っています。
最後までお読みいただきありがとうございました。







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