呼吸生理とHPVについて詳しく

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みなさんこんにちは。

HPVって聞いたことありますか?聞きなれないワードかもしれませんが人工呼吸器管理のみならず、呼吸療法において重要です。

HPV(Hypoxic Pulmonary Vasoconstriction)低酸素性肺血管収縮について説明します。

呼吸療法の基礎的な部分や、低酸素血症の分類おもび治療に関してはそれぞれご参照ください。

ガス交換とは

まずガス交換について考えます。

ガス交換とは、生物が体内に酸素を取り込み、体内の二酸化炭素を排出することです。私たちは肺から酸素を取り込み、肺から二酸化炭素を吐き出します。

この一連の流れは肺の中にある肺胞で血液を介して行われており“外呼吸”といいます。

一方、全身の細胞と血液の間で交換される“内呼吸”とがあります。

今回は、この外呼吸について考えてみましょう。

前述したとおり、外呼吸は肺胞で血液を介して行われます。

下記の図のように肺胞の周囲は毛細血管に覆われています。

https://www.kango-roo.com/learning/1617/ 看護ルーより

毛細血管と肺胞でガス交換が行われるのですが、その際に“拡散”という原理が使われます。

肺胞内には、外気である21%の酸素が入ってきます。PAO2のところでお話しましたが、肺胞内の酸素は約100mmHgという圧で表現される量です。その周囲を毛細血管網が張り巡らされています。

そこで、細胞内で行われる内呼吸によって酸素を失って、二酸化炭素が加わった全身を通ってきた静脈血は毛細血管に入り込みます。

➡ 毛細血管の酸素分圧は40mmHg、二酸化炭素分圧は46mmHgといわれています。

ここで肺胞内との圧較差によって拡散が起こります。拡散とは濃度を均一化しようとする働きでしたね。

肺胞内の酸素分圧が高いため分圧の低い毛細血管内へ

逆に、毛細血管の二酸化炭素分圧が高いため分圧の低い肺胞内へと、それぞれ移動します。これが拡散を使ったガス交換ですね。

ガス交換された血液はまた肺静脈を通って左心房に流入していき、全身に運ばれます。

この時、二酸化炭素の方が拡散しやすいということも覚えておきましょう。

HPV 低酸素性肺血管収縮とは

HPVとはHypoxic Pulmonary Vasoconstrictionの頭文字で、低酸素性肺血管収縮といいます。

これは生体反応のひとつです。

先ほど、肺胞により血液を介してガス交換が行われるとお伝えしました。肺胞は3億から6億個あるともいわれておりますが、すべての肺胞が同じ条件とは限りません。

例えば、喀痰によって一部の末梢気管支が閉塞するとその先ほ肺胞には空気が通らなくなります。その肺胞が使えない分だけガス交換の効率は下がりますね。

ごく一部であれば問題ないですが、それがもっと中枢側の気管が閉塞したら空気が通らない肺胞が増えてしまいます。

https://www.kango-roo.com/learning/1616/ 看護ルーより

そんな時、喀痰で閉塞した先の肺胞は酸素が取り込めず、酸素分圧が下がりますね。

そこで生体反応が生じます。そうですPHVです。

PHVは肺胞の低酸素状態もしくは低血流によりガス交換が効果的に行われていないと、その場所の肺血管(細動脈)を収縮させます。その結果、効果的にガス交換されていない肺胞への血流量を減らすことで、効果的にガス交換されている肺への血流を増やします。その結果、酸素の取り込みを保とうとする反応です。

https://note.com/sixty_valley/n/n615def4f3e8a

わかりやすい図がありましたので引用させていただきました。

HPVの問題

HPVがあれば無気肺も怖くないと思ってしまいますが、換気血流比不均衡(肺内シャント)の是正に働くこともあれば悪化させることもあります。

低酸素の肺胞がさらに増えてしまうとほとんどの肺血管が収縮してしまいます。すると血流がほとんどの肺胞に行かなくなり換気効率はとたんに下がってしまいます。また肺血管が収縮しすぎると肺動脈圧があがり、肺高血圧や右心不全のような病態となり得ます。

➡このようなときは最終手段として一酸化窒素(NO)を投与することもあります。

また、HPVが解除された際、HPVにより収縮していた血管が拡張することにより血管床が増大し結果的に相対的循環血液量減少となり血圧低下を起こすことがあります。無気肺が解除されて酸素化が改善したと思ったら血圧が下がる。ということはよくあります。

HPVの解除は手術での分離肺換気(片肺換気)の終了後にも起こります。手術後の酸素化や循環の管理が必要ですね。

まとめ

本日は呼吸生理のガス交換とHPVについて説明しました。

生体反応として酸素化を保とうとする働きである一方、問題点もあることをお伝えしました。

少し難しかったでしょうか。

少しマニアックな話ですがこのような説明も増やしていこうと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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